言葉のお菓子
キャンパス
柑橘をかじるような原色がほとばしる
色が跳弾するように勢い余り
投げつけられては強烈に飛び付く
孤立し、対立し、調和し、融合し、引き締め合い、溶け合い、高まり
演奏のようにうねりはじめる
力(フォース)
肉体は躍動する
動点から動点へ
移動する度に膨れ上がっていく力の束
滾るフラストレーションはただ
開放されるべき一点へと収束されていく
孤独
孤独は系のよう
惑星、衛星と一定の距離を保ちつつ
楕円状の円周の中で不意に近づいたり離れたりを繰り返す。
自身は自身で回転している
Drying
渇く
渇いていく
刻一刻と
渇き続けていく
器の水や
根や
喉や
雨後や
空を飛ぶ鳥のなかに
莫大な砂漠がある
強く渇いていく方向がある
水を飲み込むものすべてに
この身体が訴える渇きに
全ての渇きが呼びかけられていく
渇きという力に綴じられていくように
春風
窓を開けると夜風が部屋に吹き込み
その風は袖の中へ吹き込む
夜風は一瞬のうちに身体中を駆け巡り
バタバタと全身の扉を開け放っていく
夢
月の胎盤から夢は産み落とされる
指先と満月との間で
絡み合うような接吻と
糸引くような交感は行われる
それら幻想の眷属
届かない距離から墜落し
頭の中に産み落とされるその塊りは
古きせかいを終わらせ
やがて新しき世界をもたらさんとする救世主
羽化を待つせかいの卵である
一日の体
夜、光は荘厳に
懺悔に満ちて
老人はその杖で愚者の背を打つ
朝
光は若々しさを取り戻し
軽やかな旋律を奏で
真昼になれば青年のように
肉体の充実を歌い
伸びやかに
その繁栄と退屈とを歌う
小さい花のような旋律
それが仲良く寄り集まったような一小節
それらを敷き詰めていった絨毯と
弾むような風
単調な繰り返しで安心させて
突如、不安にさせるように顔を覗かせる雨雲の匂い
けれど再び晴れ間が広がってすべてを忘れさせる
そんな展開が幾度か繰り返され
一通り演奏されると
春はまた楽譜が引き出しにしまわれていくように閉じられる