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夜に合いそうなものを集めました

サイドカー

カクテルグラスに短く注がれたサイドカーのシルエット
バーカウンターで片足立ちする夕日の直立

月と借用書

 

月を盗む
いくつかの言葉で
借用書を作るように
騙し取る

数行の詩と交換に
対象をこの手に独占する
指先に蝶を止めるように
これはその間だけ、
自分の領地とする魔術

 

金色のシャンパン坂道に注いで
月に投げつけた真赤なハイヒール刺さったまま落ちていく
黒猫のような腰つきで路地裏の夜は濡れていく
素敵な酒場で夜を彩色するボヘミアンの即興的な指先

When She poured milk into a cup of sea.

A sliced ​​Yellow lemon rose to the blue sky

 

月は寄せる
血の漣に呼ばれて
体の中の海にふと気づくこと
それだけが
あらゆる自然の事象を引っぱってくる
海から出て
動物は内側に海を抱えるようになった
そのことの事実が
あたりまえのように
眠りに入ろうとするあなたをゆりかごのように揺らし
孤独な身体を抱き寄せるだろう
あなたの血潮に遠い砂浜が呼ばれるように

この杯​

心貧しき生より
高貴なる死を
杯に葡萄酒をたっぷりと注いで
太陽よりも高く掲げて
永遠に生きる者などかつてなく
この高揚感がいつか惨めさに取って代わるくらいなら


そう。あなたが何も換算しないなら
自然はあなたを抱きとめるだろう
いつだって優しい口調で
あなたを抱くだろう

夜、あなたが傷ついていたなら
ゆりかごのように闇はあなたを受け止めるだろう
その傷に同調して
あなたにそっと寄り添うだろう

古くからの仲のように

闇は生まれたときからあなたと共にあり
あなたのことを見守ってきた

泥酔

ただ青い蝶の美しいがゆえに
僕は求め
どこかで聞いた伝説の鳥を探すように
逃げ惑う太陽を追うように

美に服従し
熱にうなされながら
酒でぬかるんだ路をふらつくように
溺れるナルシスのように

きっと
あの虹の向こうには何もない
そんなことは本当は分かっている
僕はあの虹まで行かなければならない
虹を暴かなければならない
この手に虹が自在に扱えるようになる為に。

​コーヒー

 

ティースプーン一杯分の悲しみを
コーヒーに混ぜて
夜の月がまた痛々しくも美しい儚い音色に濡れて
この胸の鍵盤を鍵打するような
喜びではなく深い悲しみが
この何も感じない世界にまるで生きているような色を添えるなら。

​船

一酔の酒
一睡の夢
夜は月の船を漕ぎ出し
船は水を分けて進む

酒を飲んでは酒を謳い
女を見ては女を謳う
酔えばこの世は面白く
醒めればこの世はあまりに辛く
ただただ俗世を嫌忌し
我が杯を満たすのみを望む

一酔の酒
一睡の夢
夜は月の船を漕ぎ出し
船は水を分けて進む

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