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少しボリュームのあるお皿

再生

 

傷を巣立とうと

もがくひな鳥

悲しみから

立ち上がろうとする廃馬

 

幾千日

むなしさの理由さがして

 

雲を分けて進む

雲雀のように

光の矢のよう

生の歓びにまかせて

 

木々の暇を縫う燕のよう

頸木を解き放って

遊び心をもって

 

若葉のように若々しく

野生に溢れ

 

風に泳ぐトビウオのように

冒険心持って

 

潜水するカワセミのように

ただ一瞬だけに賭けて

 

瞬間がつながって生となるように

 

終わりと始りを絶えず繰り返して

 

青春

長すぎた夏が僕を罪びとにした
自惚れた若さに抗うこともできずに
葉はいつの間にかみな落ちてしまっていた
夏の眩しさに僕がはしゃいでいるうちに

若さとはなんと美酒のようであったろう
肉体は早朝の新芽のように弾み
髪は黄金に濡れていた
海風が髪を吹き上げるように気分はいつも良く
どんなことにも終わりなど来るとは思えなかった

そしていつも彼方ばかりが眩しく
手招きをしては
時々とんだ希望を起こさせて僕を舞い上がらせた
まるで全てが可能であるかのように
そんなみなぎるような生命感が永遠に続くとさえ思われた
まるで永遠の時を持った者のように・・

長すぎた夏が僕を罪びとにした
自惚れた若さに抗うこともできずに
葉はいつの間にかみな落ちてしまっていた
夏の眩しさに僕がはしゃいでいるうちに

 

夏の暑さに耐えかねて
かなしみは水辺を探しに行った
存分に鳴ける涼しい木陰を探して

そして僕の夏だけが空白のまま
どこまでもこの夏の意味を探して
目はいつまでもさまよい続けている
暑い空を 見つめるでも
見つめないでもなく
何かを考えるでも
考えないでもなく
ただそこに呆然と
僕の身体はただ時間の過ぎるがままにゆだねるに過ぎなかった
夏は、それが夏なのだだといわんばかりに
これが夏の持つ力だといわんばかりに
僕を床に這いつくばらせた
輝きの失せた瞳のまま
あきらめと不安との感情のなかで
夏は僕をじわじわと殺していった

​無題

ただ下を向いて
すべてが通り過ぎてくれるのを待っていた
生きることは義務で
世界は人々の痛苦と喘ぎに満ちているように思えた
まるで生まれてくることが貧乏くじでもあるかのように

どんな歌を聴いても
どんな音楽を聴いても
響きはしなかった
虹を見ても
美人を見ても
胸を打たなかった

ただ遠くへ行きたかった
飛行機雲だけが高く白い筋を引き
ここではないどこかへ僕を乞わせた
喉から手が出るほどに、
どこへ行きたいのかさえ解らないままに
握り締めた手に汗をかいて窓の遠くを見ていた
喉が渇いて
焦れるように

こんな馬鹿げたことがいつ始まったのか誰も覚えていない
気が付けば僕は僕の日々を生きていたし
他の人も似たようなものに思えた
ある人はそれのいくらかは愛しているように見えたし
またある人はある日突然すべてを壊そうとする

乾いた場所
涙が落ちる前に奪われるような
いつも心がからからに渇いてるような
僕のたましいはそこに住んでいて
移ろう空を見てた
こうやってずっと何かを待ち続けてきたような気がする
それがなにかは分からないけれど・・

 

遠くの森には沼があって
流線型の女が棲んでいて
彼女は毎夜、深呼吸して彼女の沼に挑戦する
あと1センチあと1ミリ・・・
そんなことに一喜一憂しながら。

また、森の向こうには街があって
指先の尖った男が棲んでいて、
紙飛行機をひがな折って過ごしている
誰かに届いたり届かなかったり、
そんなことに満足したり落ち込んだりしながら。


こんなことがいつまで続くんだろう
甲斐のない一体何になるのかも分からない
羽根のない生き物がずっと空を飛ぶ練習をしているような
ふとした瞬間に自分のやっていることのすべてが
馬鹿馬鹿しくなりすべてを投げ出したくなる
この寸劇が

この永久に他人と出会うことの出来ない
一人用の寂しい遊技場のような場所で
誰かも幻のような一瞬の飛空を探して
苛まれているのだろうか

 

時々遠くの空に出る
あの虹を駆け上がれそうな気がする。
言葉を紡いでいると、詩を紡いでいると
突然虹の在り処に辿り着けそうな気がする、そんな瞬間がある
僕はそこに行こうか・・

花の奥底に指先が触れそうな
虹を暴いしてしまいそうな
自分自身さえも忘れていられるあの瞬間に

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